されど雑談!

こんにちは。オンラインショップ担当の小林です。

 

 

近所で喫茶店を経営している仲良しのおじちゃんが、先日、こんな話をしてくれました。

 

「うちのお店は喫茶店の雰囲気だけど、夜はお酒も出している。

でも、1人で飲みに来るお客様は少ないんだ。

うちのお店と居酒屋さんには、決定的な違いがあるって気がついたんだけど、

さて、何だと思う?」

 

お酒を飲めない私には、少し難しい質問に思えました。

「ん~、お酒の種類とか?」

「いやいや、一通り揃っているよ」と、おじちゃん。

 

「じゃあ、個室がないところ?」

「それはチェーン店の居酒屋さんのイメージかな?

そうじゃなくて、カウンター席で皆が横に並んで飲むような居酒屋さんと比べての話だよ。

そういうお店だと、席が近い者同士やお店の人と、楽しく話をしながら飲むんだよね」

 

考え込んだ私に、おじちゃんはこう言いました。

「答えはね、“雑談がしやすいかどうか”だ。

うちの店は、カウンター席がなくて2人席と4人席の配置だから、どちらかというと2人以上のお客様が入りやすい店でしょ。

開店当時の店が暇な時は僕もおしゃべりできたけど、忙しくなると1人で切り盛りしているから、そうはいかない。

きっと、1人で飲みにきたお客様は寂しい思いをしているかもしれないな……」

 

そういえば……と、

昼間にホールの仕事をお手伝いしていた時に感じたことを思い出しました。

“1人でいらっしゃるお客様も、お話好きの方が多い”ということを。

 

「ほら、見てよ。この傘」と、

お水とお手拭を運んだ私に話しかけてきたお客様。

「今日は、駅前の店で傘を修理してもらうために2本持ってきたんだけど、開店は午後だっていうから、また引き返して来たんだよ。

家まで帰っていると時間くっちゃうから、ここで時間までゆっくり休憩することにしたよ」

 

「まあ、それはそれは! ご来店いただき、ありがとうございます。

傘を修理してくれるお店って、どこにあるんですか? 参考までに教えてください」と私。

 

「ね、そうでしょ! 知らないでしょ。最近は傘を修理に出してまで使う人って珍しいかもね」などと、会話は続きます。

 

 

『モラロジー研究所所報』平成30年2月号に掲載された

モラロジー研究所特任教授・東京メンタルヘルス所長の武藤清栄さんの講演録から一節をご紹介します。

“悩みはお互いに支え合う雰囲気や気持ちを伝え合う状況がなくなることによって発生する、と言えます。

(中略)これらの状況を打開するためには、ゆっくりとした雰囲気づくりが必要です。それにはまず、気軽に周囲と気持ちを共有する時間です。話しかけるには勇気も必要ですが、ほほ笑むことはできるでしょう。挨拶もできるでしょう。そして雑談できればいいのです。雑談とはフリートーキングです。話すことによって浄化作用が生まれます。また、問題解決の糸口に気づくこともできます。いろいろなやりとりをしているうちに、ヒントや答えが見つかることもあるからです。さらに雑談の効果として、例えば、普段家庭の話をまったくしない上司から、子供とのコミュニケーションについて悩んでいる、という話を聞いたとき、同じように子供を持つ部下は共通の悩みや喜びを共有することができ、仲間意識をもてるのです”

 

 

モラロジー研究所所報

    平成30年2月号   

【講演録】人はなぜ悩むのか

   ――心のヘルスケア

 

たかが雑談、されど雑談!

 

飲めない私には難しい問題だと思いきや、

その答えは普遍のテーマでした。

 

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