をよろしくお願い致します。
投稿日:2018年1月19日
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新年を迎えるにあたって、あらためて掲げた目標や、
何か新しく取り組み始めたことはありますか?
しかし何事も、初めは張り切っていたとしても、
徐々に気持ちに緩みが生じてくるもの。
時には困難に直面し、挫折しそうになることもあるでしょう。
「心に決めたこと」を続けることで、
私たちは何を得ることができるのでしょうか。
始めたころは楽しかった習い事。
ところが、そのうちに地道な練習が面倒になったり、試合に負けたり、
一緒に練習していた友だちがやめてしまったりしたことで
“もうやめようかな”と思うようになった……そんな経験はありませんか?
それでもなお、一つのことを続けていくことには
どんな意味があるのでしょうか。
こんなエピソードがあります。
Kさん(40歳)の会社では、中堅・若手の社員が毎朝、
順番でトイレ掃除を行うことになっています。
掃除の方法は人それぞれです。
時間をかけて丁寧に行う人もいれば、便器を軽く磨くだけの人もいます。
Kさんはどちらかというと、後者のタイプでした。
早く片付けて仕事に取りかかろうという気持ちと、
どこかに“自分だけが一生懸命にやっても、特別きれいにはならない”という
思いがあったからです。
ところがある日、Kさんが出社早々にトイレに行くと、
後輩のTさんが洗面台の下に潜り込んで、熱心に磨いていました。
そんな場所を磨くなど考えてもみなかったKさん。
見れば、便器も床もKさんが当番のときと比べて、
格段にきれいになっているように感じます。
思わず声をかけると、Tさんはこう言いました。
「洗面台の下まで磨くと“やり切った”という気持ちになるんですよ。
僕も前からこうしていたわけじゃないんですが、
あるとき便器の汚れが気になって、時間をかけて何度も同じ場所を磨いたら、
すごくきれいになった気がしたんです。
床も洗面台も磨けば磨いただけきれいになるし、
それがおもしろくなると掃除も苦にならないから、不思議ですね」
「掃除を通して心を磨く」という理念のもと、
全国で活動を展開する「日本を美しくする会」は、
現在相談役を務める鍵山秀三郎さん(㈱イエローハット創業者)の提唱により
始まったものです。
半世紀ほど前、鍵山さんが会社を興したころは、
高度経済成長と反比例するかのように
日本人の心が荒んでいった時代だったといいます。
その中で、社員の心をどうしたら少しでも穏やかにできるかと考えた結果が
「身近な場所をきれいにすること」でした。
人は日ごろ見ているもの、接しているものに心が似てくるはず――
そんな思いから、鍵山さんは社内やその周辺の掃除を始めたのです。
「あなたのやっていることは、ざるで水をすくうようなものだ」と
言われても、こつこつと掃除を続けた鍵山さん。
やがて社員も一緒になって取り組むようになり、
よそからも「掃除の仕方を教えてほしい」と頼まれるようになりました。
鍵山さんは、自分自身の人生を「凡事徹底」という言葉で表しています。
つまり「誰にでもできる平凡なことを
誰にもできないくらい徹底して続けてきた」ということです。
そして「平凡な努力の積み重ねこそが大きな成果を招く」とも。
「ざるで水をすくっても、必ず二滴か三滴はたまる。
それを繰り返しているうちに、バケツにいっぱいになり、
たらいにいっぱいになる」と語る鍵山さん。
こうした思いで続けてきた活動が、多くの人の心を動かしているのです。
(参考=『凡事徹底が人生を変える』『凜とした日本人の生き方』ほか)
「継続は力なり」というように、目標を持ち、それに向かって
こつこつと努力を続けることは、自分自身に力を与えてくれます。
それは、努力の末に物事を成し遂げたときの達成感や、
確かな判断力であったり、困難を乗り越える力であったりします。
また“自分もやればできるんだ”という発見は、
より高い目標に挑戦する原動力にもなるでしょう。
何より、物事の大小にかかわらず「心に決めたこと」を成し遂げるために
一歩ずつ進んでいく歩みそのものが、私たちの生活や人生の全体を、
より確かなものにしてくれるのではないでしょうか。
小さなことでも何か一つ、目標を持って、この一年を過ごしてみませんか。
(『ニューモラル』536号より)
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