竹内 啓二 編著
228頁 A5判 ISBN: 978-4-89639-193-0
人類の教師と言われる諸聖人の思想に学ぶ 古代諸聖人の思想や事蹟について述べるとともに、聖人を模範とした廣池千九郎自身の生涯はどうであったかを論じ、廣池がどのように聖人を理解していたのかを探る。
主な内容
まえがき
比較文明学から見た聖人論 (服部 英二)
- はじめに――地球環境の破壊と果てしない戦争
- 伊東俊太郎とカール・ヤスパース
- 聖人という呼称
- 比較文明学の見地
- ムハンマドの場合
- ヘブライズムとイスラーム
- 選民と超越神
- 言葉と父性原理
- 結論――父母原理の再発見が現代の課題
中国における伝統思想と現代―孔子 (井出 元)
- はじめに
- 孔子の信条
- 合理主義の立場と宗教性
- まとめ――中国における伝統思想と孔子
廣池千九郎の仏教研究の特色とその現代的意義 (竹内 啓二)
――大乗仏教と「釈迦の真精神」
- はじめに
- 大乗仏教こそ釈迦の真精神が伝わった
- 釈迦究極の思想――菩薩の大誓願
- 菩薩の「伝統」への奉仕
- 廣池と大乗仏教の仏陀観
- むすび――廣池の仏教研究の継承と発展
ソクラテスの説くいのちと愛 (諏訪内 敬司)
- いかに生きるか――よく生きる
- よく生きる――魂をよくする
イスラームにおける愛――預言者ムハンマドの生涯と神の愛 (保坂 俊司)
- はじめに
- 不幸な生い立ちと幸運な結婚
- 預言者=神の愛の実践者への道
- 神の愛の自覚とイスラーム共同体の構築
- 戦争さえ愛の証であったムハンマドの生涯
- 愛の完成と死
皇室に伝わる祈りと愛民の思想 (橋本 富太郎)
- 皇室は祈りでありたい
- 祈念と誠の心
- 祈りの伝統(元寇/戦国時代/江戸の太平/幕末維新期/第二次世界大戦)
- 代わらないこと
世界に橋をかける日本皇室――互敬の世紀を拓く (服部 道雄)
- はじめに
- 哀しきレバノン杉
- 地上で最も貪欲な生物
- 奪う文明と育てる文明(収奪型農業と循環型農業)
- キングとモースの感嘆――西洋追随からの脱却を
- 苛政は虎よりも猛し――政治は最高の道徳だが
- 現代世界の混迷を解く鍵が日本皇室に
- レバノン杉が日本の首都に
廣池千九郎と古代諸聖人の言葉――いのちと愛を考えるヒント (山田 眞澄)
- はじめに
- 廣池千九郎の言葉 〈いのちと時間〉/〈慈悲至誠〉
- ソクラテスの言葉 〈死後の楽しみ〉/〈愛と恋の探求〉
- イエス・キリストの言葉 〈永遠の命〉/〈愛と許しの思想〉
- ゴータマ・ ブッダの言葉 〈生と死を考える〉/〈慈悲の思想〉
- 孔子の言葉 〈悲嘆の克服〉/〈仁愛の思想〉
- まとめ
廣池千九郎のイエス・キリスト論――『道徳科学の論文』より (竹内 啓二 ・ 山田 眞澄)
- はじめに
- 「慈悲」と「仁」と「愛」の究極の意味は同じ
- 悔い改め・改心・贖罪・新生
- 道徳実行の動機としての「贖罪」と諸聖人の教え
- キリストと「伝統」尊重
- 人間は聖人とそして神になり得る――人間の進化
- キリストの感化力
- 聖人の精神の継承について
- まとめ
廣池千九郎の聖人性 (望月 幸義)
- はじめに
- 聖人とは何か
- 大正元年の大患
- 大正四年の困厄
- 神意同化の研鑽
- 人心開発救済への献身
- 神・聖人への道
- 廣池の聖人性の深化
あとがき
執筆者紹介
執筆者紹介 (執筆順)
服部 英二 (はっとり えいじ)
モラロジー研究所道徳科学研究センター顧問・教授、麗澤大学比較文明文化研究センター客員教授、地球システム倫理学会会長。京都大学大学院博士課程修了、パリ・ソルボンヌ大学博士課程留学。国連教育文化機関(ユネスコ)において、首席広報官、文化事業部長等を歴任、1994年退官後、麗澤大学および同大学院教授、同時にユネスコ事務総長顧問を経て現職。フランス政府より学術教育功労章(パルム・アカデミック)オフィシエ位を享受さる。全国日本学士会より2010年アカデミア賞。主著に『文明の交差路で考える』(講談社)、『出会いの風景』、『文明の対話』、『文明は虹の大河』(麗澤大学出版会)、監修に『科学と文化の対話』、『文化の多様性と通底の価値』(麗澤大学出版会)、監訳に『地球との和解』(麗澤大学出版会)等がある。
井出 元 (いで はじめ)
モラロジー研究所道徳科学研究センター廣池千九郎研究室室長・教授、同研究所廣池千九郎記念館館長、麗澤大学外国語学部教授、学長補佐。東北大学大学院修士課程修了。中国哲学専攻。著書に『人生の転機―廣池千九郎の生涯』、『廣池千九郎の思想と生涯』(モラロジー研究所)、共著に『中国における人間性の探求』(創文社)、『道徳・教育・経済』(広池学園出版部)、『問われる家族倫理』(広池学園出版部)、監修に「10代から読む中国古典シリーズ」(ポプラ社)がある。
竹内 啓二(たけうち けいじ)
モラロジー研究所道徳科学研究センター人間学研究室室長・教授、麗澤大学経済学部・同大学院国際経済研究科教授。インド国立タゴール国際大学大学院哲学研究科博士課程修了。哲学博士。著書に『近代インド思想の源流―ラムモホン・ライの宗教・社会改革』(新評論)、「モラロジーと原始仏教の倫理思想」『モラロジー研究』二三号 一九八八年。編集に『釈迦伝文献目録』(研究ノート一五五号)モラロジー研究所研究部 一九八六年と『イエス伝邦文文献目録』(研究ノート号一六二号と一六六号)一九八八年と八九年、等がある。
諏訪内 敬司 (すわない けいじ)
モラロジー研究所道徳科学研究センター教育研究室客員研究員。杏林大学・同大学院教授。麗澤大学講師。慶応義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。ロンドン大学教育研究所ディプロマ課程修了。共著に『道徳、教育、経済』、『日本の近代化と精神的伝統』(広池学園出版部)、『廣池千九郎の行述七十七篇』、『倫理道徳の白書 vol.2』(モラロジー研究所)、『教職課程講座 第五巻―道徳教育』(ぎょうせい)。主要論文「品性論」(一)〜(七)。共訳書にP・Aソローキン『若い愛 成熟した愛』(広池学園出版部)、T・Wムーア『教育哲学入門』(川島書店)、J・シャロン『死と西洋思想』(行人社)、J・Fチルドレス『生命医学倫理』(麗澤大学出版会)等がある。
保坂 俊司 (ほさか しゅんじ)
モラロジー研究所道徳科学研究センター人間学研究室主任研究員、中央大学政治学部教授、麗澤大学・早稲田大学講師。中国社会科学院研究委員。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。著書に『インド仏教は何故亡んだか』(北樹出版社)、『イスラームとの対話』(成分堂)、『ブッダとムハンマド』(サンガ)、論文に「道徳の源泉としてのムハンマド」(1)〜(4)、『モラロジー研究』五四、五五、五六、六〇号、二〇〇四〜二〇〇七年、等がある。
橋本 富太郎 (はしもと とみたろう)
モラロジー研究所道徳科学研究センター廣池千九郎研究室研究員、廣池千九郎記念館学芸員、麗澤大学非常勤講師。國學院大学大学院博士課程前期修了。修士(新道学)。主な著作に、『大学生のための道徳教科書』 麗澤大学出版会(共著)、『皇室事典』 角川学芸出版(共編)、「廣池千九郎著『伊勢神宮の出版事情』」(『神道研究集録』21輯)、「広池千九郎畑毛記念館の保存と展示」(『モラロジー研究』六四号)等がある。
服部 道雄 (はっとり みちお)
モラロジー研究所生涯学習本部活動推進部長。東京教育大学(筑波大学)卒業。麗澤中学・高等学校教諭、教頭を経て現職。著作物に「皇室の伝統と大嘗祭」、「日米のかけ橋となった一柳米来留(ひとつやなぎめれる)の生涯」「廣池千九郎の国家観及び歴史観」、「人類の教師に学ぶ」(いずれもモラロジー研究所の出版物に収録)がある。
山田 眞澄 (やまだ ますみ)
モラロジー研究所情報センター年始資料室主管。東洋大学文学部仏教学科卒業。平成八年から十一年まで四回開催されたモラロジー研究所生涯学習の講座部門における「聖人研究セミナー」の講師と、開催運営クルーのコーディネーターを務め、講義資料集『最高道徳の源流 聖人に学ぶ』を編集。著書などに『遙かなる釈迦誕生の地をたずねて―十五日間インドの旅―』第十回釈迦の聖蹟研究旅行団、会誌『聖蹟回顧』、『温故知新―英知と慈愛をたずねて』聖蹟研究愛好会、『温故知新―世界諸聖人の発想を学ぶ』学びと気づきの会等がある。いずれも同好会名による編集・発行。
望月 幸義 (もちづき ゆきよし)
モラロジー研究所道徳科学研究センター人間学研究室客員教授、麗澤大学名誉教授。麗澤大学外国語学部イギリス語学科卒業後、外務省に勤務。東京大学文学部大学院修了。倫理学専攻。モラロジー研究所研究部基礎理論研究室長、同研究部長、麗澤大学教授等を歴任。著書に『道徳実行の喜び』(廣池学園出版部)、『喜びを創る最高道徳』、『「考え方」を変える』、『やさしい道徳実行のすすめ』(モラロジー研究所)等がある。