総合人間学モラロジー概論 A5判 304頁
モラロジーとその内容である最高道徳の要点を紹介。
新たな道徳原理として、今日、人類社会が直面している諸問題に対する処方箋を提言する。
【目次】
まえがき
凡例
基礎編
第一章 倫理道徳の目指すもの
はじめに
一、人類の生活と道徳
- 人生と幸福の追求
- 善を実現する三つの段階
- 幸福の実現と品性の向上
二、人類共通の倫理道徳
- 人類共通の目的
- 相互扶助と公共性
- 安心と喜びの共生社会
三、これからの倫理道徳
- 倫理道徳に対する誤解
- 超越性と公共精神の広場
- 歴史、宗教及び科学の叡智の統合
四、道徳実行の根本精神
第二章 人間力と品性の向上
はじめに
一、人間存在の実相
- 生かされて生きる
- 欲求の充足から
- 人生の意味の探究
二、人間力をつくるもの
- 遺伝子情報
- 情報と知識
- 倫理道徳
三、品性――善を生み出す根本力
- 人間力の核心
- 品性の表れ
- 人生の段階と品性向上
四、生と死を巡って
第三章 道徳共同体をつくる
はじめに
一、交響する生命と文化
- 人間の個性と共同性
- 福祉とケアの考え
- 私欲と社会改善
二、相互扶助と公共精神
- 黄金律の進化と三方善
- 民主主義の改善
- 言葉がつむぐ共生の感覚
三、人類社会の基礎共同体
- 家族共同体への愛
- 郷土愛の新生
- 郷土愛から祖国愛へ
四、祖国愛と人類愛
第四章 普通道徳から最高道徳へ
はじめに
一、倫理道徳の進化
- 伝統的な道徳に見る知恵
- 普通道徳の成果と役割
- 普通道徳の限界
二、求められる最高道徳
- 世界諸聖人とその道徳
- 世界諸聖人の特質
- 最高道徳の特質とその生き方
三、倫理道徳の源流を求めて
- 日本の歴史に見る最高道徳の精神
- あらためて聖人の道徳を学ぶ
- 文化の多様性と共通の道徳
四、最高道徳の広場へ
実践編
第五章 自我没却
はじめに
一、自我とは
- 自己保存と自我
- 煩悩――心の三毒
- さまよえる現代人の自我
二、自我没却の目的
- 品性向上への旅立ち
- 三方善への配慮
- 積極思考を身につける
三、自我没却の方法
- 物事の道理学ぶ
- 歴史の経験に学ぶ
- 視野の拡大と寛大な精神
四、自我没却の効果
第六章 正義と慈悲
はじめに
一、人類共生の標準
- 公正を願う心理
- 社会における正義の水準と種類
- 正義運用の利己心
二、正義と慈悲の進化
- 応報の原理をこえる
- 神仏の心に見る正義
- 宇宙的な正義と慈悲
四、正義と慈悲の効果
第七章 義務の先行
はじめに
一、義務先行の意味と目的
- 義務先行と品性の完成
- 贖罪としての義務先行
- 積善としての義務先行
二、権利と義務の正しい理解
- 天賦人権説
- 権利と義務の円環
- 応答責任としての義務
三、義務先行の方法
- 応答責任の先行
- 自己本文の遂行
- 運命の正受と改善
四、義務先行の効果
第八章 伝統報恩
はじめに
一、伝統、、恩および報恩
- 伝統とその種類
- 世代をつなぐ恩と報恩の道徳
- 報恩の三つの段階
二、実生活と伝統報恩
- 家の伝統に対する報恩
- 国家伝統に対する報恩
- 準伝統に対する報恩
三、精神伝統に対する報恩
- 精神伝統と人類文化
- 二本の文化と精神伝統
- 精神伝統への報恩
四、伝統報恩の効果
第九章 人心の開発救済
はじめに
一、開発救済とは何か
- 人間の精神を耕す
- 開発から救済へ
- 精神開発の主要な柱
二、人心開発の方法
- 品性完成をめざす相互扶助
- 全人格を通じた働きかけ
- 慈悲進を徐々に育てる
三、人心救済と全人的意味の回復
- 人生の意味の崩壊と苦悩
- ケアの根本――人生の意味の再建と希望
- ケアの実践要綱
四、品性完成した人の姿
- 純粋他力の中で自力の努力を
- 人心開発救済の事業への献身
- 真に救済された人の品性
五、人心開発と救済の効果
第十章 道徳実行の因果律
はじめに
一、因果律の理解と人生観の確立
- 精神と行為の因果律
- 世界諸聖人の説く因果律
- 因果律と善悪の標準
二、道徳実行の要点と効果
- 動機・目的・方法と効果
- 結果の受け止め方と効果
- 時代、時機、場所、場合への配慮
三、運命を改善する心構え
- 科学的な安心立命
- 唯心的な安心立命
- 社会文化や自然環境の改善
四、因果律を確信することの効果
最高道徳のすすめ
あとがき
<付録>
廣池千九郎の個人史とモラロジーとの関係について
廣池千九郎略伝――道徳の研究と実行への歩み
索引