家庭と学校、そして地域との親和がもたらす教育力――
日本はかつて、世界に冠たる教育立国であった。
百年の大計の再構築は、その教育風土の再建から!
大局を見据えた「教室からの提言」
占部賢志著 四六判・191頁
ISBN 978-4-89639-249-4
【目次】
第一章 教育は国家百年の大計
日本民族の真骨頂
- 教育は文化の継承にあり
- 「地の塩」としての教育風土
- 学ぶことを貴ぶ国柄
道徳教育の本筋
- 昨今の底の浅い道徳論議
- 「良心を誘発するもの」
- 「知育」と「徳育」は分けるべからず
「伝統」で混迷打開を
- 「伝統」の意味と歴史
- 被災地に甦った班活動の体験
- 「向こう三軒両隣」の文化を活かす
世界史的視野に立つ「総合日本史」創設の提唱
- 地歴独立の意義
- 世界史必履修化の背景
- 内と外からのアプローチを
大学秋入学を活かす奉仕活動の導入
- お手伝いと道徳心
- 大学秋入学を活かすベストの企画
- 目指すは日本流の「ノーブレス・オブリージ」
先人の苦闘の歴史を教える環境教育を
- なおざりにされてきた森の文化
- 剣岳山頂の錫杖
- 森を築いた先人の知恵と情熱を学べ
戦後教育を総点検して「危機管理教育」の導入を
- 中教審を動かした釜石の子供たち
- スイスの『民間防衛』に学べ
- 危機に備える必修教科の創設を
官民の連携による道徳教材の「全国公募」を
- 名作「稲むらの火」の主人公
- 戦前の文部省の英断
- 道徳教材は公募すべし
「和魂」を取り戻せ――日本を学ぶ専門の教科を
- 「日本」不在の教育界
- 小さな外交官のための「私塾」
- 「和魂洋才」の新設教科を
言霊幸う国の民よ、言語感覚を取り戻せ
- 乱れゆく言葉を糺せ
- 亡国の兆し──カタカナ語の氾濫
- 国を守る真の国語教育を
「辞書」に思う――学問の水先案内人を活用せよ
- 辞書と私
- 新旧で判断すべからず
- 国語統一は「独立の標識」
もてはやされるコミュケーション能力に苦言を呈す ――人間の資質・能力は単純ではない
- 世渡り上手が評価される風潮
- 「巧言令色」と「弁論術」
- 「百尺下の水の心を、水の深さを」
道徳教材を再考せよ――「偉人伝」にふさわしい人物を
- 社会貢献を教えない日本の学校
- 「偉人」とは何か
- 何を貴いと見るか
「役立ちたい」心を大きく伸ばせ――先般の国際比較調査に思う
- 世界最下位の自衛意識
- 見るに忍びない祖国の現状
- どんな機縁を提供できるかが勝負
「対話の文化」を復活させよ――ほめる教育の光と影
- 「ほめられる子供は伸びない」
- 私の流儀──人を介してほめる
- 流れ星をめぐっての絶妙の応答
広がる「合意」の思想――縦軸の家族文化で立ち向かえ
- 「愛」から「合意」へ
- 三世代同居と学力テスト
- 祖父と孫の合作論文
子供は本来冒険者――少年よ、温室を出よ
旅と道草こそ子供のワールド――「泣こよっか、ひっ翔べ」
- 「一人旅」のすすめ
- 野菊と寄せ書きの収穫
- 忘れられない「川の神」
学校――その不思議な魅力
- 久しぶりに再会した子供たち
- 海上を漂流する少女を支えた校歌
- マララの国連演説
第二章 学校教育の現場から
教育を歪めた「子供中心主義」――教師は子供のサポーターではない!
- 子供の目線に合わせるな
- ジョン・デューイは参考にならない
- 教育と遊びは違う
いじめに教師は立ち向かえ
- 偏った教育観が増幅させた「いじめ問題」
- いじめる加害生徒を叩き直せ
- あやかりたい人と共に生きよ
子供に喧嘩のルールを――勝っても負けても爽やかな世界
- 喧嘩といじめが違う点
- 卑劣な人間にならないために
- 人には毅然と立ち向かわねばならない時がある
教師は心して言葉を磨け――短歌がはぐくむ道徳心
- 心の訓練と短歌
- 言葉を推敲すれば心が変わる
- 独特の国語体験
流行のICT教育に苦言を呈す――教師は授業の腕を鍛えよ
- ICT教育に異議あり
- 言語脳学者からの警告
- デジタル教材に負けてはならない
体育は基礎基本に還れ――生涯スポーツの発展のために
- 憂うべき「体力低下」
- 「選択制体育」の弊害
- 食わず嫌いになりかねない体育
教師は切磋琢磨の関係たれ――持ち味を発揮し、調和しつつ
- 核心は教師論
- 一献酌み交わせ
- 外から見たら……
- 本立ちて道生ず
機微を読み取る眼を磨け――公平で生きた教員評価を
- 神は細部に宿る
- 評価に必須の「観の目」
- 自己評価の心理
PTAを刷新せよ――「地域の教育力」の復活を
- 失われた地域の緊張感
- 健全育成は縦軸の連携がカギ
- 大人社会を刷新する決め手
学校はチームで犯罪を抑止せよ――佐世保の高一殺害事件に思う
- 打つべき手は打たれていたのか
- なぜ抑止力は発動しなかったのか
- 活きたチームプレーこそ「魔物」に対抗できる
いじめ防止対策推進法はできたけれど
- 事あらばアンケートとは情けない
- 学校の対応は改善できるのか
- 課題は加害者の指導
「本物の教師」の出現を期す――読者へ願いを込めて
- 悪戦苦闘する教え子
- 「魂がうつる」
- あやかりたき人と共に
- 「生きた思想、それが大事だ」
第三章 道徳の小窓――生き方の鑑としての歴史
- 稲むらの火――本物の国語が伝えた道徳心
- 佐久間艇長の遺書――生還不能の中、職を全う
- 明治天皇――「海の日」と東北御巡幸
- 有島生馬画伯の絵――日本とベルギーの友情秘話
- ヘダ号――安政東海地震とロシア船救助
- 吉田松陰――兄として生きた知られざる人間像
- 日本の捕鯨文化――もたらす恵みに感謝と弔意
- 「大和魂」とは何か――知識に負けない精神の働き
- 荘川桜移植に挑んだ男たち――笹部新太郎が示した日本人の絆
- 台湾の「松下村塾」――芝山巌学堂に殉じた六士先生
- 角倉素庵の手紙――波濤を越えた外交哲学
- 中江藤樹と『捷径医筌』――「我了佐ニ於テ幾ド精根ヲ尽ス」
- 市丸利之助と少年兵――硫黄島ローソク岩の光景
あとがき
<著者略歴>
占部賢志 (うらべ・けんし)
昭和25年福岡県生まれ。
九州大学大学院人間環境学府博士後期課程単位取得退学。
福岡県の高校教諭を経て、中村学園大学教育学部教授。
NPO法人アジア太平洋こども会議イン福岡「世界にはばたく日本のこども大使育成塾」塾長、古典輪読会「太宰府斯道塾」塾長、一般財団法人日本教育推進財団顧問等を務める。
著書に『歴史の「いのち」』全2巻(モラロジー研究所)、『語り継ぎたい美しい日本人の物語』(致知出版社)、『私の日本史教室――甦る歴史のいのち』(明成社)、『立志の若者へ』(福岡城南ロータリークラブ)等がある。