地球の砂漠化は「人間の心の砂漠化」から!
世界の文明に通じ、ユネスコで数々の画期的プロジェクトを手がけてきた著者が、人類生存の道を拓く「新たな倫理」を説く講演集。
服部 英二 著
254頁 四六判 ISBN: 978-4-89639-234-0
【主な内容】
第一章 言葉のいのち――国際言語年にあたって
- ・ 多様性こそが人類の文化遺産
- ・ 言葉は「音」である
- ・ 言語教育は「民族の魂」を学ぶ道
- ・ 文明間の対話
- ・ 民族国家の誕生と言語の政治化
- ・ リンガ・フランカとは何か
- ・ 「互敬」に向けて
〔コラム〕 もののあわれ ―― ことの葉の真実
第二章 ユネスコと文化の多様性
- ・ 相互理解が平和を築く――ユネスコの「知的協力」の意味
- ・ ユネスコが発信した「世界遺産」の概念
- ・ 環境問題と結びついた世界遺産条約
- ・ 「文化の多様性」と「生物多様性」の有機的な結合
- ・ 9・11後の世界
- ・ 「文化の多様性」 と「通底」の価値
- ・ 差別を生む「普遍」の価値観
- ・ ゴッホの「ひまわり」に学ぶこと
- ・ ハーモニーを生む「おかげさま」の思想
〔コラム〕 世界的美意識
第三章 イスラム文明との対話
- ・ 「異質な文明」との対話のために
- ・ シルクロードは「文明間の対話の道」
- ・ 世界から消えた「イスラム文明」
- ・ 隊商都市に生まれた「生活の掟」
- ・ アラブ化したイスラム
- ・ 「よき国民をつくる教科書」から「普遍的な文明史」へ
- ・ 知られざるイスラムの貢献
- ・ 「西洋」と「西洋ならざるもの」の近代
- ・ イスラム原理主義の心中にある「恨」
- ・ 日本とイスラムを結ぶもの
〔コラム〕 人は形を求める
第四章 激動する世界と日本文化
- ・ 世界に見る二つの「原理主義」
- ・ 今こそ価値観の「リセット」を
- ・ 「一万分の一」の時間に起こった異常事態
- ・ 近代日本が出会った「西洋」
- ・ 「普遍」から「通底」へ
- ・ 古代に通底する叡智
- ・ 忘れられた「生命の樹」
- ・ 日本の文化力
〔コラム〕 エデンの園の忘れられた園
第五章 新しい地球倫理を問う
- ・ 「母殺し」の大罪
- ・ 存在から所有へ――精神の砂漠化
- ・ 聖書による正当化
- ・ 「神は死んだ」
- ・ ヨーロッパの出自
- ・ ヨーロッパの中核としてのスコラ哲学
- ・ 中世の黄昏
- ・ ルネサンスは何をもたらしたか
- ・ 聖俗の葛藤から生まれた科学革命とその非倫理性
- ・ 七つの大罪
- ・ 新しい地球倫理とは
- ・ 「力の文明」から「生命の文明」へ
〔コラム〕 感性と響き合う理性
第六章 「普遍」から「通底」へ――人類文明の危機と日本の役割
- ・ 文明は「出会い」により生まれる
- ・ 全は個に、個は全に
- ・ 地球の砂漠化を招くもの
- ・ 「互敬」を実現する「通底」の価値観
- ・ 今こそ「生命の文明」を
〔コラム〕 匠 ―― 心と物の出会い
第七章 科学知から総合知へ――人類生存の課題
- ・ ユネスコで考えたこと
- ・ サステイナビリティ――何を維持するのか
- ・ 成長という神話
- ・ グラフは何を語るか
- ・ この先にあるもの
- ・ 地球史の中の人類史
- ・ 「文明」は衝突しない
- ・ 科学革命はなぜヨーロッパだけに起こったか
- ・ 「ヨーロッパ」の姿を読み解く
- ・ 自然を超越した「デカルトの目」
- ・ 「光の世紀」に起こったこと
- ・ 倒された「王権」と「教権」
- ・ 「所有の文明」の到達点
- ・ 孤児となった人間
- ・ 「間」に光あり
- ・ 総合知こそが未来を拓く
〔コラム〕 伊勢神宮のように生きる
おわりに――日本人とは
<著者略歴>
服部 英二 (はっとり えいじ)
1934年生まれ。京都大学大学院博士課程終了後、フランス政府給費留学生としてソルボンヌ大学博士課程留学。1973年よりユネスコ(国連教育科学文化機関)パリ本部勤務、首席広報官、文化担当特別事業部長等を歴任。1994年帰国、ユネスコ事務局長顧問、麗澤大学及び同大学院教授、日本学術会議<文明誌>構築特別委員会委員、日仏教育学会会長、国際比較文明学会副会長等。現在、モラロジー研究所道徳科学研究センター顧問、麗澤大学比較文明文化研究センター客員教授、地球システム・倫理学会会長、日本比較文明学会名誉理事、世界ユネスコクラブ協会連盟名誉会長、筑波大学大学院外部アドバイザー。フランス政府より学術教育功労賞(パルム・アカデミック)オフィシエ位、全国日本学士会より2009年度アカデミア賞を授与。著書に『文明の交差路で考える』(講談社) 、Letters from the Silk Roads (University Press of America)、『「対話」の文化』(共著、藤原書店)、『出会いの風景』『文明間の対話』『文明は虹の大河』(麗澤大学出版会)、監修に『科学と文化の対話』『文化の多様性と通底の価値』『地球との和解』(同)等。