有吉忠行 著
264頁 四六判 ISBN: 978-4-89639-177-0
時代が変わっても、変わらないのは母の愛――。
長年、子供の問題を語る母親集会を主宰し、多くの母と子に接してきた著者がつづる「感動の実話集」。
わが子への愛とまごころが、子供に豊かな感性と生きる力をはぐくみます。
《小学一年生の母親の言葉》 (第三章 「母と子の心の結び合い」より)
まだ幼稚園児のころから、ほめてやりたいときも、気持ちや心を思いやるときも、「ありがとう」「よく、がんばったね」「よく、がまんしたね」などの言葉と一緒に、私の体を折って、あの子を抱いてきた。(中略) 数か月前。私が、かぜをこじらせて一週間ほど寝込んでしまったとき、かぜがうつるといけないから、そばに寄らないようにと言っておいたのに、ある日、私がうつらうつらしているところへ、あの子が、そっと部屋に入ってきた。そして、手では私の顔を触らないようにしながら、そっと、五、六秒、ほおだけを私の顔につけて、部屋を出て行った。抱いてあげると元気になるという思いが、そうさせたのであろう。 抱いてやることと甘やかしとは全く違うと思う。むしろ、あの子は、私と夫が望んでいた以上に早く自立していってくれた。抱かれることによる安定した心が、自立につながっていったのではないだろうか。
主な内容
まえがき
一 子供の”支柱”を育てる自主・自立
・「あなたはしてはいけないことをしたのよ」
・千人の子供には千通りの生き方
・子供を変えた”考える力”
・わざと道草、子供を主役に
・信念で有名私立小から公立小へ
・家に、お金はあっても
・「あら まあ」のお母さん
・わが子に責任を果たさせた母親
・子供の本当の素直さ
・自分で自分に責任を持つように
・自律心を自分で育てさせていく
二 心を豊かにする他への思いやりの心
・「私が心を動かしただけ」
・「こんなときは泣いてもいいのよ」
・片目をつぶって笑った女の子
・どの子も、りっぱになるように
・「おばあちゃん、どうして、たたくの」
・病院での診察を譲った母と子
・「お母さん、うれしいなあ」
・ありを心からいたわった母と子
・母と女の子とタンポポ
・心やさしい、二つの傘
・「一番、一番って、ほめないで」
三 母と子の心の結び合い
・正しいことと、正しくないこと
・親が子に、うそをつかせる
・「抱っこって、いいなあ」
・子への思いを偽りにしないように
・家庭の中に美しい言葉を
・紙を一枚一枚、重ねるようにして
・心で子供にこたえてやる
・わがままは親のほうが多い
・父親と子供をつなぐものは
四 母親のあり方・生き方
・子供を持った母親の大きさ
・母と子と、一枝のあじさい
・叱るより愛のある導きを
・母親は知識優越感から卒業して
・人間を育てて社会的に生きる
・親同士の中傷は慎もう
・母親が変わり、子供が変わる
・いじめに立ち向かわせた母親の信念
・土下座でわびた、いじめっ子の母親
・動物の子育てに学ぶ
・変わることのない母親の愛の大きさ
あとがき
著者略歴
有吉 忠行(ありよし ただゆき)
昭和4年(1929)生まれ。昭和51年に全国学校図書館協議会常務理事・編集部長を退き、「日本読書クラブ」理事長、「子どもの作文教室」講師などを務め、子供の問題を語る
「母親集会」を主宰。 著書に、童話『でかのっぽくん』(ポプラ社)、『ごめんねケン』(PHP研究所)、『敬語の缶 づめ』(旺文社)など多数。
★ この本を「出版部日記」で紹介しています。