リレーランナー

こんにちは。オンラインショップ担当の小林です。

 

祖母の告別式のときのことです。

祖母を乗せた宮型の霊柩車に続き、

私は後方を走るマイクロバスに乗っていました。

 

ちょうど小学校1・2年生の下校時刻。

宮型の霊柩車をあまり見かけなくなったせいか、

きらびやかな車を見て、はしゃぐ子供たち。

 

そういえば……私が「霊柩車を見たら親指を隠す」

というジンクスを初めて知ったのは、たしかあのくらいの年頃。

とても怖くて、その怖さだけで親指を隠していたな……。

 

そんなことを思い出しながら、バスの外を眺めていました。

すると、はしゃぐ子供たちの中で、霊柩車に

向かって静かに手を合わせている子供がいたのです。

 

「ああ、見ず知らずの私の祖母の旅立ちに、手を合わせてくれている……」

怖がっているような表情でもなく、ふざけている様子でもなく、

とても優しい表情です。

私はこの子供たちに見とれてしまいました。

これが品性というものでしょうか。

 

きっと、その根っこは、この子供たちをはぐくんだ

全ての人たちの心が土となって支えているに違いないと思いました。

北川治男さんの著書

品性は生きる力――生存の基盤を培う教育

から一節をご紹介します。

 

――私たちは、生命のリレーランナーであるばかり

ではなく、精神的ないのちの継承・発展を通して

人生の意味を探求し、その理想を実現していく存在

でもあります。最初は親から人生の指針を学び、

やがて多くの師や先人から人生の拠り所となる

価値観を習得していきます。人生の究極的な意味を

探し求めて、私たちの精神を導く教えの源流に遡れ

ば、(中略)人類の教師たち(ソクラテス、

イエス、釈迦、孔子など)の生涯に行き着く

でしょう。これら聖賢の教えは、宗教や思想という

形で、各民族や各国の歴史や文化の中に受け継がれ

ています。人類は、古い時代からこのような諸聖賢

の高い品性と道徳によって精神の教育を受けて

きたのです。その教育は社会に平和をもたらす

うえで、また、人々の苦しみや悲しみを癒し、安心

と喜びを与え生きる力を高めるうえでも、偉大な

功績を残してきました――

                      

 

 

自分自身もリレーランナーの一人として、後から

来るこの子供たちの「良い土」となれるような大人

になりたいと思いました。

 

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